寄藤文平さん「絵と言葉の一研究」を読んでみた!

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「絵と言葉の一研究 『わかりやすい』デザインを考える」を読んだ

寄藤文平さん絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考えるを読みました。

JT「大人マナー講座」、東京メトロのポスターなどで作品を見てはいましたが、著書は初めて。

「研究」というタイトルに倦厭されてたらもったいない。寄藤さんのイラストもたくさん入っているし、文章もとても読みやすい。エッセイみたいにすらすら読めます。

寄藤さんが駆け出しのころからデザイナーとしてどのように悩み、「わかりやすさ」を実現するためにどのように考えてきたか、という軌跡が書かれています。

私の独断と偏見で、とくにおお!と思った点を3点、紹介します。

「おお!」ポイント3点

おお!①

デザイナー、イラストレーターとして悩んでいた時のこと。

デザインの本を読むのをやめて、経済の本を集中的に読んだ。いろいろな本があったけれど、どの本も、たったひとつのことしか言っていないように思った。
「人の役に立たなければ、金はもらえない」

そして、自分の絵がどのように役に立つことができるかを考え、「僕にできることは、つまらないと思われていることや、見逃されていることを面白く伝えること」という地点に着地したという。

経済の本を読んだ、というところがすごいと思います。
仕事ではみんな悩みます。。でもそのときに、どこへ向かうか?というのは人それぞれで、そこで大きな違いが出てくる気がします。

転職する。自分のスキルアップをめざす。政治的問題だと思う。占い小屋に行く。ぐちって終わる。等々・・・

そこで「経済だな」と思って、経済書を読んで、しかもそれを自分の個人的な問題に使える形に消化させられるって、すごいと思います。

おお!②

使っているのがハイブリッドという普通に売ってるボールペンなのですが、それを使うときに・・・

最初にペン先を温める。先端の金属が紙に少し当たる角度に傾けて、軸を回転させながら研ぐように線を引く。3分ほど繰り返すとペン先が温まって、インクがスルスル出るようになる。

というのです!

安いボールペンでも、使い方を自分で作り出して使うということに感動しました。
インクの出方がいまいちとか、線の太さが安定しないとか、文房具のせいにして替えまくっていた自分を深く反省しました。。

おお!③

「自分チャンネル」という遊びをしているという話。自分を見ている自分2号をつくり、その二人を見ている3号を作り、とどんどん増やして、それぞれの視点に切り替えるというものらしいのですが・・・

自分のデザインをチェックするときとかに、2号は無意識で作りますが、8号とか、可能!?

自分10号に挑戦したときには、本気で嘔吐しそうになった。それでも訓練しているとかなりスムーズにできるようになるから、人間の頭脳というのは、スゴいもんだなぁと思う。

って・・・遊びのレベルが高すぎる!!!
衝撃でした。。自分と比較したりすべき人じゃないなと思い知りました。。

「絵と言葉の一研究」の一研究

こんな3点をピックアップすると本の内容を誤解されそうですが、もちろんデザインとか、アートディレクションとかについても、価値ある内容たくさんです!
一冊の本に対して装丁案が30も出されているところなんて圧巻!

でも私としては、デザイナーとして、というよりもそれ以上に寄藤さん自身の魅力を強く感じました。

といっても、この二つは実は関連しているんですよね、きっと。

この本全体の印象でもあるけど、寄藤さんは実に自分の言葉で話し、自分の頭で考えているなあと思いました。

私は、言葉を使い出すと言葉が上滑りして、自分と別ものになってしまう。
だから、論文的みたいな、一人でつっぱしっていけばいい文章はすらすらかけるのだけど(ただし中身がともなってないことはすぐばれる)、読み手を想定して「私」自身として書くブログの文章などは苦手。(これも描いてて苦しいし恥ずかしい・・・)

寄藤さんの文章は出発点も、深めた考えの行き先も、どこからどこまでも自分

そして、その言葉で、デザインのことを考え続けている

だから、その言葉で作るデザインは、「わかりやすい」のだと思います。

寄藤さんがたどりついた「わかりやすく伝える」というのはどういうことか、という答えは・・・

「わかりやすさ」を考えるというのは、「どうしたら人間は活き活きと考え続けることができるのか」を考えることなのだ。

なのですが、ここのところはぜひ本を読んでください!
ここに至る思考は、ちょっと引用ではつたえがたい。まさに、寄藤さんのデザインのように、「ちょっと変ななにか」をかもしだしているので、ぜひ本人の言葉で読んでほしいです!

・・・コミュニケーションの完成形はコミュニケーションの必要がなくなることだ。そのとき、お互いが共有しているものは、言葉でもなければ絵でもない「何か変なもの」だと思う。

この本からは、たしかに「何か変なもの」を感じます。

この本は2012年出版。もう7年経っています。この考えの続きを読みたいな〜と思いました。

次はこれですね!↓

今回読んだのはこちら↓

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