「世界一おもしろい国旗の本」をデザイナー的にお勧めしたい理由

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国旗の本を探して

幼稚園の運動会で国旗を描いたことをきっかけに、娘が国旗に興味を持ったので、国旗の本をかってあげようと思ったのはすでに2年半前。
国旗の本を買おう!と思って、探しましたが、ピンとくるものには出会えませんでした。

その時、私が欲しかったのは、『国旗と、その国の地図が一緒に載っているもの』でした。
国旗の本はたいてい国旗のみ載っていて、世界地図の本は国旗は載っていない(載っていても巻末などにまとめて載っていて、地図とリンクしていない)。
その条件に合うものがなかなかなく、幼児には難しすぎる本を買って、本棚に眠らせてしまいました。

国の情報がイラストで盛り込まれていて、すごくいい本なんですけどね・・・

『世界がみえる地図の絵本』の中
地図とともに国旗が乗っているのは、ほんとに貴重です!

それ以来、書店に行くと、国旗の本をチェックするクセがついてしまいました。

そして、「こ、これはいいんじゃないか!?」という本に出会ったのです。

それがこちら。

『世界一おもしろい国旗の本』表紙

もともと国旗の本チェックしていた動機の、『国旗と、その国の地図が一緒に載っているもの』には合っていないんです。
完全に娘のためではなくて自分目線で惹かれ、買ってしまいました。

「世界一おもしろい国旗の本」の魅力

国旗の”タテ/ヨコ”から、デザインにおける根拠の重要性を学ぶ

この本では、国旗が時代とともに変わっていった変遷も書かれています。いわば国旗の「タテ」関係

今の国旗に至るまでの経緯を知ると、国民が「何を望み、何を拒否したかったのか」が明らかになります。

一枚の国旗は、歴史を語る物語なのだなと感じました。
シンプルなデザインでも、実は雄弁

また、似たような国旗がけっこうありますが、そのような「ヨコ」関係も大事です。
自分のアイデンティティは何か?ということを精査した結果、「同じでいいところ」「同じがいいところ」「違うのがいいところ」を選んでいます。

自分がデザインするとき、「そのデザインを説明できるか」ということを常に考えるようにしています。
クライアントがぱっと見て即OKならいいですが、疑義が出たときに、デザイナーは「こういう根拠があって、これなんです」と説明できないといけません

国旗の中にたくさんの根拠と文脈が閉じ込められていることが分かり、同じだ!と思いました。

国旗のこだわりポイントから、優先順位の重要性を学ぶ

国旗についての知識で、「そこがポイント!?」と驚くことも少なからずありました。

例えば・・・
・インドの国旗は「カディ」とよばれる手で紡いだ綿か絹で織られたものでないといけない。

また、「え、そこポイントじゃないの!?」と驚いたことも。

例えば・・・
・ギリシャの国旗の青い部分は「青」としか決まっていないので、水色でも紺色もいい。

1ともかぶるのですが、「ここが、こういう理由で大事。ここは、こういう理由でどうでもいい」という、両方の説明がひとつひとつのデザインについてできること、優先順位がきちんとつけられていることも大事だなと思いました。すべてがこの通りでなきゃ!というのではなくて、「ここは変えられる、ここはこの通りじゃなきゃダメ」というポイントを明らかにすることで、よりデザインの根拠がしっかり伝わるのではないかと思います。

作者の勇気から、表現者の覚悟を学ぶ

以上のように、この本には国旗についての知識がたくさん書かれています。

これ、読んでいてけっこうハラハラします。。(私だけ?)

きっと、国旗の決まった経緯なんかは昔の話だったりするとなおさら、諸説あったりするんじゃないでしょうか?
また、国同士の関係はデリケートなところで、歴史的な事実に対して違う解釈などは必ずあると思います。
作者はほとんどの国に対して「外国人」であり、それぞれの国民(の一部)から批判が出ることはじゅうぶんにありえることではないかと思います。

でも、それでもこの本を出して、知的好奇心に応えてくれた作者に、私は敬意を感じます。

批判のない表現なんてない。
わかっていても批判は怖い。。
それでも表現したいことを表現する、その勇気をいつも持っていたいなと改めて思いました。

イラストがいい。

好みもあると思いますが、このシンプルで上手な線画のイラストがすごくいいです。
国旗でよく使われる6色の色がキャラクターになっていますが、ポップすぎず、固すぎない、バランスが絶妙です。

国旗を紹介するとき、キャラクターたちが旗の中の自分の色の要素を持ち寄って、三色なら三人が合わさって一つの国旗ができあがる、というふうになっているので、国旗の要素が分かりやすいです。

『世界一おもしろい国旗の本』の中

紙質がいい。

これも好みです・・・つるつるしてない、マットな紙質がいいです。

とにかくデザインがいい。

すべての漢字にルビがふってあり、子どもでも読めるようになっていますが、必ずしも子ども向けではないということが、紙質や、彩度を抑えた色合いなどから分かります。

品がありながら、とても読みやすいところも、すばらしいと思います。

まとめと補足

以上、デザインの本ではないのに「世界一おもしろい国旗の本」をデザイナーにお勧めしたい理由でした。

ここまで伝えそびれましたが、第一に、内容がおもしろいです!
へ~ボタン連打したくなります(なつかしい~)

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